議会での提言

2019/07/24

京都市の児童虐待の現状と今後の取組

(令和元年度教育福祉委員会)

7月17日右京区の児童虐待事件に関して、教育福祉委員会で「京都市の児童虐待の現状と今後の取組について」質問をさせて頂きました。京都市に対して、児童虐待根絶に向けて全力で取り組んで頂く事を求めました。

①7月17日右京区の児童虐待逮捕に関しての見解
 この7月17日に、自宅で当時3歳の長男を暴行し死亡させたとして、無職の母親21歳と、会社員の父親22歳が、傷害致死の疑いで逮捕されました。両親は「疑われるようなことは何もない」などと容疑を否認しているそうでありますが、当時3歳だった男の子には頭のほか、体にも複数のあざがあり、日常的な虐待があったとみて取り調べが進められています。この件につきまして、京都市児童相談所によると、「過去に虐待などの相談はなかった」とされていますが、実際にこの家庭におきましては児童虐待が日常的に行われ、小さな生命が奪われてしまうという痛ましい事件にまで発展を遂げています。当然ながら、3歳の子どもは自ら訴える事ができず、虐待を受けていると思われる子どもたちのサインを周囲が早くキャッチし、援助の手に結びつけなければなりません。
京都市児童相談所はこの件に関しましては、「虐待などの相談はなかった」とされていますが、虐待は密室である家庭の中で行われる事がほとんどです。虐待の発見が遅れて大事に至ってしまう事を防ぐのが、児童相談所の重要な役割でありますが、この件に関しましてはいかがお考えでしょうか?

②児童虐待の発生予防・早期発見について
 児童虐待の発生予防・早期発見の為には、
・乳幼児健診未受診者等に関する定期的な安全確認、
・地域における相談窓口や子育て支援拠点の設置促進、
・全国共通相談窓口189の周知、徹底、啓発、
・学校等における虐待等に関する相談体制の強化等の
児童虐待防止対策の抜本的強化が必要だと考えますが、今後の防止対策については、どのようにお考えでしょうか?

③児童虐待発生時の迅速・的確な対応について
 児童虐待発生時は、迅速かつ的確な対応が必要となり、児童相談所の更なる機能強化が必要であります。一時保護等の介入的対応を行う職員と、支援を行う職員を分けるという、児童相談所における機能分化の体制整備も必要かと考えます。また、スクールソーシャルワーカーやスクールロイヤー、警察OB等の専門スタッフの学校・教育委員会への配置や、支援学校・教育委員会における児童虐待防止・対応に関する研修等の充実も必要かと考えますが、京都市の今後の体制整備はどのようにお考えでしょうか?

④母親のサポート及び、各機関との連携強化について
 一般的に、虐待をする親はひどい親だと思ってしまいがちですが、親自身も子どもの頃に自分の親に虐待を受けた経験があって苦しんでいたり、生活苦や、子育て、家庭の問題で悩んでいたり、地域で孤立していたりするケースも多々あり、そのストレスを子どもに向けていることも、決して少なくありません。私自身も子育て期真っただ中の母親であり、育児と仕事の両立に精神的な限界を感じ、子どもに当たってしまう時もあります。そして、障がいを持つ子供の親御様は、特に大きなストレスを抱えられています。虐待は「親自身からのSOSである」とも考える事ができ、私は、親を責めるだけでは決して児童虐待の解決には繋がらないと考えています。昔は2世帯同居、3世帯同居が当たり前であり、子育てのストレスから逃げられる「場所」や「人」が、それぞれの家庭の中に存在していました。核家族が大多数を占めるようになった現代社会において、児童相談所に求められている役割や期待は、更に大きくなっていくのではないでしょうか。乳幼児を育てる家族、特に乳児を子育て中の母親の地域社会や家庭内での孤立化を防止し、ストレスを抱えがちな子育て世帯のサポートをきめ細かく行っていく事こそが、真の児童虐待防止に繋がると考えます。虐待の相談・通告件数は増加傾向にあり、更なる体制の強化が求められる一方で、高度な専門性を備える職員の養成は容易ではないのも現実であります。関係者である民生児童委員や主任児童委員、保健所や医療機関、児童相談担当課、児童福祉施設、保育関係、学校等との更なる連携強化が求められていますが、こちらの取り組みはいかがでしょうか?

⑤長期休暇のリ虐待リスクについて 
 児童相談所の皆様はじめ、関係機関の皆様が連携をしながら、精一杯各現場に対処して頂いているという事は、十分に理解ができました。ただ、どの事例におきましても、支援が行き届かないということが、決してあってはなりません。本件も、小さな尊い生命が失われる前に、何かしらの救済の手が差し伸べられなかったのだろうかと、大変悲しく感じております。
ちょうど幼稚園と小学校は、夏休みに入りました。子供と過ごす時間が長くなる夏休みは、親にとってもストレスが大きくなり、虐待発生のリスクも高まる時期でもあります。昨今、子どもに食事を与えないネグレクトも多く、学校給食で食事を摂れなくなる夏休みは、虐待を受けている子ども達にとっては、非常に大きな飢餓のリスクでもあります。小さな尊い生命が失われる事がないよう、そして虐待に悩み苦しんでいる子ども達に、温かい救済の手を差し伸べられるよう、今後も引き続き、各機関と連携をした、きめ細かな対応を要望致しまします。児童虐待は子供の貧困、DVと密接な関係性があります。DVを所管されている文化市民局とも、一層の連携強化を図られる事を求めます。京都市は、子育て環境日本一を謳われています。誇りある政令指定都市として、児童虐待根絶に向けて、全力で取り組んで頂く事を求めまして、私の質問を終わります。

※京都市の回答につきましては、YouTube録画をご覧下さい。